『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』

木野 親之著
『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』
―この時代をいかに乗り切るか―

12月28日 「最後の瞬間まで精一杯行きたい」

自分の生命はいつ尽きるか解りません。
しかし、その最後の瞬間まで精一杯生き切りたいものです。
これは幸之助の生き方に学んだ私の心からの念願です。
人間は一人では何も出来ません。

同じ目的に向かって、互いに励まし合い、支え合う同士が
いてこそ、困難を乗り越え、難事を成し遂げることが出来る
のです。
真の人間の結合こそ、歴史を変革し、大きな時代のうねり
を起こせるのです。

『吉田松陰一日一言』

川口雅昭氏編  致知出版
『吉田松陰一日一言』
―魂を鼓舞する感奮語録―

12月28日 「心はもと活きたり」 

心はもと活きたり、活きたるものには必ず機あり、機なるものは触に従ひて発し、感に遇ひて動く。
   嘉永3年9月「西遊日記」

【訳】

心というものはもともと生きものである。生きているものには、必ず発動のはずみというものがある。
機というものは、何かに触れることによって発動し、感動することによって働くものである。

物を扱う商売の心構え

お世話になった人に、「ありがとうございました」と声をかけるように、
役に立ってくれた物に対して、「ありがとう」「ご苦労さま」と言えるでしょうか。
私たちは仕事をする上で、さまざまな物(商品、製品、機械、道具など)を扱います。
使った道具を元に戻さなかったり、機械の手入れを怠たるなどの不始末は、思わぬミスを生じさせ、信用を失うことにつながります。
また、仕事上に限らず、脱いだ履物を揃えない、傘のしずくを乾かさないなど、
日常瑣末な物事の始末をきちんとしないことが、実はいろいろの不幸の原因になっているのです。
感謝を込めた後始末の実践は、物事を成功させる第一歩です。

 A社長は、自社商品の販売を委託する際に、その店のトイレを見るといいます。
トイレがきれいに清掃してあれば〈この店は信頼がおける店だ、大丈夫だ〉と判断しています。
反対に、表向きはいくらきれいでも、トイレがひどく汚れているような会社は、注意して判断するとのことです。
社内がきれいに清掃されているか、よく整理整頓されているかどうかは、そのまま会社全体の印象につながります。
中でも「トイレの後始末は、そのまま会社の業績や信用に直結している」というのが、長年の経験から得たA社長の判断基準なのです。

返品された商品は、どこの会社にとっても喜ばしい「物」ではありません。倉庫に入れっぱなしで放ってある会社も多いでしょう。
もし売れ残った商品を「不要な物」「やっかいな物」と捉えれば、その心のままに、商品も不要な物になってしまいます。
紙製品メーカーのS社長は、精魂込めて作った商品が返品されてくると、心の中で〈ご苦労さまでした。
今度は間違いなくお客さまの手元に届くようにします〉と、祈りながら念じています。
そして、出来上がった時と同じように新しい箱に入れ、限られたスペースを創意工夫して、整理しています。
 S社長の心がけは、いつしか社員にも浸透していきました。
やがて物にも反映したかのように、一度返品された商品も売れていったという体験をしています。
物は、人と同じように生きています。人の心がそのまま反映するという点では、むしろ人間以上の精密さです。
商品や製品によって生計を為している人は、商品や製品を大切に扱い、どんなに感謝してもし過ぎることはないでしょう。
後始末は、その感謝の心を行動に表わす実践でもあります。
物を扱う仕事をする上での心がけは次の通りです。
①物の整理整頓、場の清掃に徹しましょう。
②美しい陳列を心がけ、店内を明るい装飾にしましょう。
③商品や製品に対する感謝の式を取りましょう。
後始末によって今年一年の仕事の締めくくりをして、輝かしい新年を迎えましょう。

『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』

木野 親之著
『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』
―この時代をいかに乗り切るか―

12月26日 「人の話をよく聞け」

幸之助は人の話をじっくり聞く人でした。
「君な、人の話を聞くときは、相手の本当に言いたいことを
聞くんやで。自分の考えを挟んだらあかん。素直に相手の
立場になるんや」
幸之助によく言われました。
道元禅師は、「耳で聞くな、目で見るな、体全身で聞き、
身と心で見ること」の大切さを説いています。
幸之助の偉大さを痛感しています。

『吉田松陰一日一言』

川口雅昭氏編  致知出版
『吉田松陰一日一言』
―魂を鼓舞する感奮語録―

12月26日 「一日を弛めば」

足下誠に才あり、才あれども勤めずんば、何を以て才を成さんや。
今、歳将に除せんとす、学弛むべからず、一日を弛めば、将に大機を失せんとす。 
 安政4年12月20日「※馬島生に与ふ」

【訳】

お前は本当に才能がある。才能はあるけれども日々努力をしなければ、
どうして才能が開花させ、自分のものとできようか。できはしない。
今年もまさに暮れようとしている。学問をする気持ちをゆるめてはいけない。
一日でもゆるめれば、学問の大切な機会を失ってしまうぞ。

※長州藩医の子馬島光昭。松下村塾の門人。