『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』

木野 親之 著
『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』
―この時代をいかに乗り切るか―

8月31日 「長たるものは」

「長たるものは、すべての責任を負うのが当然、それは
私の責任です、と言い切れているかどうか」
責任の転嫁は人の道に外れます。
また、責任の取り方は非常に難しいものです。
幸之助は、責任を果たすとは、事業計画を100パーセント
達成することと言っています。
この他に、責任の取りようはありません。
そのために長たる者は自分を磨き部下の尊敬の対象と
成るべきなのです。

子供から教えられたこと

日々私たちの身の上には様々なことが起こるものです。

辛いこと、苦しいことには遭遇したくないものですが、逃げずに正面から受け止めれば、生活をさらに良くするきっかけにもなります。

ある姉妹の例を紹介しましょう。 A子さんとB子さんは二歳違いの姉妹です。姉のA子さんは周到に計画を立てて物事を進めていくタイプ。その一方で、几帳面なあまり、心配が過ぎる傾向があります。

妹のB子さんは「思いついたら即行動」がモットー。一気呵成に物事をやり抜きますが、時に周囲を振り回すことがあります。

二人はそれぞれ結婚し、男の子が生まれました。ところが不思議なことに、どちらも同じような皮膚の病気が現われてきたのです。

A子さんは、わが子を見るたびに、〈なぜ、うちの子が…〉という思いが募ります。心配になってインターネットで調べたり、「良い医者がいる」と聞けば、遠方まで診療に赴きました。しかし、症状に変化は見られません。

 

最初は楽観的だったB子さんも、そんな姉の様子を見て、だんだん不安になってきました。そして、〈子供の病気は、親である私に何かを教えているのかもしれない〉と思い、純粋倫理を学ぶ母に相談を求めたのです。すると、「二人とも、自分自身のことを振り返ってみたら」というアドバイスがありました。たった一言でしたが、母の言葉を機に、これまでの暮らしぶりを思い返してみました。

A子さんは、心配のあまり子供ばかりに注意が向き、夫には無関心でした。それどころか、子供の症状が改善されない苛立ちを夫にぶつけていたのです。このことをまず謝ろうと思い、夫に「ごめんなさい」と頭を下げました。夫から「これからも協力していこう」という言葉が返ってきました。

B子さんは、周囲のアドバイスを受け入れることが苦手でした。特に、夫から何かを言われると、いちいち腹を立てていました。そのため会話も少なかったことを反省し、夫の言葉に素直に耳を傾けるよう心がけたのです。

その後、姉妹共通の友人から、よい医者の紹介がありました。それぞれ通院すれば良くなることを告げられ、ホッと一安心。その後の診察には、それぞれの夫婦と子供、六人で病院へ行くようになったのです。夫婦仲が格段に良くなったことは、二人にとって大きな変化でした。

子供自身に、あらわれた病気でさえも、例外なく、親の生活の不自然さが反映したまでである。これを知ったら、世の人々は、どれほど驚くことであろう。又どれほど安心することであろう。こうした事が、うそかまことか、それは人に聞くまでもない。子を持つ世の親たちは、自分自分のこれまでの生活と、子供たちの性質なり、することなりを、静かに観察すれば、はっきりすることである。(『万人幸福の栞』)

私たちの周囲に起こることで、意味がないものはありません。今日一日、今この時に起きてくることをどう受け止めるか。どう見るか。そこに岐路があるのです。

『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』

木野 親之 著
『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』
―この時代をいかに乗り切るか―

8月28日 「一つの仕事が達成されるか否かは」

「一つの仕事が達成されるか否かは、それぞれの持ち場
の人が、責任を自覚しているか否かにかかっている」

事業はなんと言っても、チームワークです。
一人では出来ません。一人ひとりがなぜこの仕事を
するのか、どのような考え方で、どのようにするのかで
決まるのです。
だから理念経営の重要性が問われるのです。
目的や意味を理解し、そこに共感があってこそチームに
なるのです。

『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』

木野 親之 著
『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』
―この時代をいかに乗り切るか―

8月30日 「約束を守れ」

物を買えばお金を払い、物を売れば集金する。
この約束事をきちっと守っていくのが、経営です。
約束事で、世間の調和が保たれ、人々の幸せが
保証されるのです。
約束を破る経営は、王道には外れた邪道の経営
になります。経営の基本は信頼によって築かれて
いくのです。

幸之助は約束に厳しい人でした。
生成発展は約束を守ることからはじまるのです。

『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』

木野 親之 著
『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』
―この時代をいかに乗り切るか―

8月29日 「混合されてこそ調和がとれる」

何事にも差異があって当然である。
それぞれ異なるものがバランスよく、混合されてこそ
調和がとれる。
世の中のもの、すべてがオンリーワンです。
その一つひとつが、コラボレーションされて、社会が
成り立っています。
「矛盾を矛盾としないようにするのが、真の経営である」と
よく幸之助に言われました。
会社が良くならないのは、矛盾をそのままにして経営して
いるからなのです。