生活力を培い現場力を向上させる

正月恒例の箱根駅伝を楽しみにしている
ファンは多いことでしょう。今年は、シード
権を取れずに、予選会から勝ち上がった日本
体育大学が三十年ぶりに総合優勝を果たし、
話題となりました。
昨年は出場二十チーム中十九位に終わり、
襷も最後のランナーまでつながらなかった
屈辱から這い上がっての優勝は、駅伝ファン
ならずとも驚きと感動を覚えました。その要
因はどこにあったのでしょうか。
昨年、チーム史上最低の順位に終わった後、
別府健至監督は高校駅伝界の名将・渡辺公二
氏を特別強化委員長として招聘しました。そ
の渡辺氏が走るトレーニングよりも先に手
をつけたのは選手の生活の改善でした。
・起床五時三十分、就寝十時三十分の徹底。
・朝練の義務化。
・遅刻厳禁。
・朝練前のグランド整備とゴミ拾い。
・食事は残さず食べる。
以前は、合宿所でもゲームをしたり夜更か
しをするのが当たり前だった選手たちに、ま
ず規則正しい生活を送ることを徹底して指
導しました。
渡辺氏は、まず選手の人間力・生活力を高
めることで、団結力や競技力を身に付けさせ
ていったのです。そのようにして、苦しい状
況でも練習通りの実力を発揮できる選手を
育てていったのです。
強風により各校の有力選手が力を発揮で
きない中、いつも通りに実力を発揮できたこ
とが日本体育大学を栄冠へと導いたのでは
ないでしょうか。
倫理研究所では、日常生活の中で実践すべ
き基本動作を「7アクト」として倫理法人会
会員企業に推奨しています。
① あいさつが、示す人柄躊躇せず、先手で明るく
はっきりと。
② 返事は行為のバロメーター、打てば響く「ハイ」
の一言。
③ 気づいたことは即行即止、間髪入れずに実行
を。
④ 先手は勝つ手五分前、心を整え完全燃焼。
⑤ 背筋を伸ばしてあごを引く、姿勢は気力の第
一歩。
⑥ 友情はルールを守る心から、連帯感を育てよ
う。
⑦ 物の整理は心の整理、感謝を込めて後始末。
職場では仕事のスキル以外にも必要な能
力があります。それこそが人間力・生活力で
あり、朝礼や日常生活の中での「挨拶」「返
事」「時間を守る」「後始末」などの実践が、
その能力を高めていくのです。
予定外の仕事や、時間に追われてしまい、
本来の実力が発揮できない場面は多くあり
ます。そんな時にミスを防ぎ、いつも通りの
仕事ができるかどうかは、私たちが日常実践
の中で備えた人間力・生活力にかかっている
のです