経営のタテ軸を道標に進む

人間は、一日の中で約二万回の選択をしているといわれています。
朝、目が覚めて「起きるか、起きないか」の選択からスタートし、「何を着ていくか」
「朝食を食べるかどうか」など、数えるときりがありません。
また、無意識のレベルでも、五感によって外界の状況をさまざまに取捨選択しているようです。「目や耳は見たいものだけを見て、聞きたいものだけを聞いている」という「知覚の選択性」
という働きも考慮すると、取捨選択の回数はさらに増えるでしょう。
日々の軽微な選択だけでなく、時には人生を左右する選択をしなければならない場面もあります。
岐路に立たされた時、人は何を基準に進む道を選ぶのか。Y氏の場合は「難きを選べ」
という言葉を座右の銘としています。
「事が大変になった時、簡単で安易な道を選ぶと一時的に楽にはなるけれども、
長い目で見ると結果としてプラスにならない。道行きに迷った時は、厳しい方向に
向かったほうがいい」と、Y氏は語ります。
『論語』にも、「仁者は難きを先にして獲ることを後にす」(教養のある人は、困難、問題を
先にして行ない、得になるような事は後にする)と、同じような教訓が残されています。
経営者や組織の責任者もまた、選択の連続です。時には会社の命運を左右する選択も
あるでしょう。一つの決断が大きな責任を伴う場合も少なくありません。
経営においては何を選択の基準にしたらよいでしょうか。倫理経営においては、経営の「経」
をタテ軸、「営」をヨコ軸と捉えて、容易に変えない、動かない「経」のタテ軸を拠り所
とすることが大切だと考えています。
「タテ軸とは『道』とか『理』、すなわち時代が変わっても変わらない原理・原則、
あるいは経営の理念や基本方針を指す。迷って方向を失ったときにはすぐさま戻るべき、
経営の原点でもある」
(『倫理経営のすすめ』丸山敏秋著)

経営においては、芯となるしっかりとした縦軸がなければ、問題が起きるたびに右往左往
してしまいます。また、岐路(苦難)に遭遇した時には、明朗な心境でこれを受け止め、
ぶれない縦軸をしっかりと自覚して、自信を持って選択した道を押し進むことが
大切であるとも説いています。
「光明と暗黒の岐路に立った時、毅然として光明の面に向き直って、ひた押しに押し進む。
また岐れ路に立った時、これをくり返す」
(『人類の朝光』丸山敏雄著)
たとえ苦難に直面しても明るく朗らかな心境で前進し続けることで、やがて確固たる判断基準が
心の中に打ちたてられ、信念に基づいた強い突破力が培われていくものです。
それらを磨き高めていくのが、気づいたらすぐ行動に移す「即行」の実践です。まずは、
朝目が覚めたらグズグズせずに、パッと起きる実践から始めましょう。
朝一番のその選択が、より充実した一日を作り上げるのです。