『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』

木野 親之著
『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』
―この時代をいかに乗り切るか―

9月30日 「わかったつもりで生きたらあかん」

ある日、幸之助がつぶやきました。

「幾つになっても、わからないのが人生やな。
わかったつもりでいることほど怖いことはないな」と。

人間の心は、孫悟空の如意棒のように、伸縮自在で、大きくも小さくもなるのです。
幸せに生きるコツは、わかったつもりで生きたらだめだということです。
謙虚さを失い、体当たりで仕事をしていた私が大きく変化した一瞬でした。
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常に謙虚な心で、心を大きくします。

『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』

木野 親之著
『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』
―この時代をいかに乗り切るか―

9月29日 「明るい方からものごとは見る」

「ものごとをどちらから見るかですべてが変わる。木野君な、
事実は一つや、明るい方から見た方が得やで」
と、よく幸之助に諭されました。

どちらで見るかで答えが変わるものです。
成功した人はどんな困難に打ち負かされようと、明るい
気持ちで体当たりをして成功を勝ち得ているのです。
東方電気再建も、明るい方から見るようになって成功
しました。

『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』

木野 親之著
『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』
―この時代をいかに乗り切るか―

9月28日 「自分の殻から飛び出せ」

私が悩んでいる時、幸之助が励ましてくれました。

「悩むのも大事だが自分の殻に閉じこもったら負けやで。
素直に人の教えを乞うことも大事やで」

失敗することを恐れるよりも、真剣でないことを恐れたい
ものです。
悩みから逃避するのではなく、悩みがあるから生きがいが
あるのだと考えれば必ず道は開けます。

建設会社で働いているAさんは、数カ所の現場を受け持っています。
どの現場にも、様々な業者が出入りしています。
とあるビル建築の現場に入った際、一緒に仕事をする業者の中にどうしても苦手な人がいました。
 その人はいつも仏頂面でした。表情が険しく、口を開けば嫌味を言います。
何度か顔を合わせても、〈ちょっと嫌なタイプだな〉という第一印象は拭えません。
一度苦手だなと思うと、することすべてが気になって、イライラは募るばかりでした。
それでも、自分から挨拶をするように心がけていたAさん。社長からいつも
「挨拶は人間関係の基本。どこにいっても明るく爽やかに挨拶するように」
と教えられていたからです。
また、休憩時間には缶コーヒーを持って話しかけ、打ち解けようと努力をするのですが、
状況は変わらないままでした。
このままでは、肝心の仕事にも支障をきたしてしまいます。
何とか関係を良くしたいと思ったAさんは、次のように考えました。
〈この人はずっとこうだったんだ。今さら変わるわけがない。ならば、そのままを受け入れよう〉
そう考えると、吹っ切れたように心が軽くなったのです。
これまで、缶コーヒーを差し入れていたのも、〈相手に取り入りたい〉という心からでした。
苦手意識はあるものの、〈相手に自分のことを好きになってほしい〉というのが本心でした。
それが、〈この人はこのままでいい。仏頂面も個性なんだ〉と考えると、
顔を合わせることが苦痛ではなくなったのです。気軽に会話ができ、自然に笑顔がこぼれました。すると、相手も笑顔を返してくれたのです。
 相手をありのまま受け入れようと思った時、これだけ状況が変わるのかとAさんは驚きました。その後は苦手意識もなくなり、スムーズに仕事が進むようになりました。
やがて、別の現場でも、その人から指名が入るほどの信頼関係が生まれたのです。
人と人が対面する場においては、言葉以外にも、表情や視線、姿勢、
動作など様々な要素が組み合わさって、コミュニケーションが取れます。
表向きは笑顔で接していても、心の中では〈何となく嫌だな〉〈苦手だな〉
と感じていることは誰にでもあるでしょう。
そのような心は、どこかに表われてしまうものです。心と身体はひとつながりだからです。
人間関係でうまくいかない時、その根本には、相手を避ける気持ちが潜んでいるかもしれません。たとえ「好き」にはなれなくても「嫌わない」こと、
「相手をそのまま受け入れる心持ち」を人間関係の根幹に据えたいものです。
最後に、倫理運動の創始者・丸山敏雄の言葉を引用して、今月のテーマを締めくくりましょう。
  明るい心が、身体を健康にし、家庭を明朗にし、まわりを楽しくし、仕事を順調にする。
心が先であり、心がすべてである。
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松下幸之助翁の
「鳴かぬならそれもまたよしほととぎす」
に通ずる気かあしました。
自然体で相手を受け入れます。

『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』

木野 親之著
『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』
―この時代をいかに乗り切るか―

9月27日 「リーダーはうろたえるな」

私は東方電気再建のおり、行き詰まったことがよくあり
ました。

「行き詰まったときは、うろたえたらあかんで。無理をせず、
十分に休養して、力を養うのも一つのほうほうや」と、幸之
助に言われました。

思ったことが、全部実現出来たら、むしろ危ない。
三回に一回、うまくいかないことがあってちょうど良い、
と考えて時を待つ心の余裕を持ちたいものです。