嫌々やっても実践ではない

A氏は、同業者に誘われて、経営者モーニングセミナー(以後、MS)に参加しました。
同じ立場である経営者たちが、さわやかな表情で、元気に挨拶を交わす姿に魅かれて、
毎週、MSへ通うようになりました。
会員スピーチや講話を聴く中で、人を変えようとするのではなく、自分から変わるところに、
活路を開き、苦難を克服する道があるのだ、と気づきました。
当時、A氏には、人を責める癖がありました。売上が伸び悩んでいるのも、
「社員が仕事をしないから」「妻の理解が足りないから」と、周りを責めていたのです。
そうした自分を変えたいと思い、MSの参加者に相談したところ、強情な自分を捨てるには、
目が覚めたらサッと起きる「朝起き」の実践が一番良いと聞き、
Aさんはさっそく実践を始めました。
翌朝、「起きよう」と決めていた時間に、パッと目が覚めたことを不思議に思いました。
ところが、一週間も過ぎると、次第に起きるのが苦痛になってきたのです。
また、夜中の一時や二時に目が覚めてしまう日もあり、そのたびに「実践だから仕方がない」
と無理やり起きていました。
その睡眠不足も相まって、かえって周囲の人を責める心が強くなってきたのです。
一カ月が過ぎた頃、「実践しているのに何がいけないのですか」と、
MSの講話に来た研究員に相談しました。すると、次のようなアドバイスを受けたのです。
「夜中に目が覚めて、まだ起きるには早いようでしたら、〈もう一度休ませてもらいます〉
と心の中で言い聞かせて休めばいいですよ。それから、喜んで起きるよう心がけるといいですよ」
A氏は、この「喜んで起きる」という言葉にハッとさせられました。実践だからと、
無理やり起きていたのです。
そして、喜ぶどころか、〈妻は今日も起きるのが遅いな〉〈社員たちは相変わらずだ。
俺がこんなに努力していることも知らずに〉と不満を募らせていたのです。
目が覚めたら起きることなど簡単だと思っていましたが、「喜んで」という心が
まったく欠けていたのでした。そして、〈今日はいいことがあるぞ〉
〈今日も健康で起きられる、ありがたいな〉という思いで、朝を迎えるように心がけたのです。
三カ月が経過した頃、従業員たちの表情に笑顔が多くなっていることに気づきました。また、
「社長」と声をかけられた時、「ハイッ」と気持ちよく返事できるようになっていたのです。
「朝起き」の実践を通して、自分が変わることの大切さを実感したA氏。そのポイントは、
心の持ち方にあったのです。 
純粋倫理の実践は、どのような心で行なうかということを重視します。
喜んで取り組んでいるのか、それとも、嫌々ながら仕方なく取り組んでいるのかでは、
大きな違いが出てきます。
物事を行なう際には、自分の心の状態を点検してみましょう。
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私もこの実践をしていまして、はだいたいAM4時30分位に目が覚め起きます。
やはり2時頃目が覚める時も多々あります。そんな時は、喜んで起きるようにします。

『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』

木野 親之著
『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』
―この時代をいかに乗り切るか―

11月20日 「自動販売機と同じ」

品物を売って、代金をいただくだけなら、自動販売機と同じです。
これは幸之助の変わらぬ信念です。
お客様と心を通わす、物心一如の商売こそ、真の商売です。
商売は、機械で出来るものではありません。
答えは一つではないのです。心のみが、人の心を動かすのです。
商いは心です。喜びと、新しい変化を相手に与えてこそ、
本当の商売と言えるのです。
お客様と心を通わせてこそ、真の商売です。
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機械とは違う付加価値。
同業他社とは違う付加価値を追及していきます。

『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』

木野 親之著
『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』
―この時代をいかに乗り切るか―

11月19日 「人を動かす」

幸之助は社員をとても大切にしました。
「社員が多くなればなっただけその分の心配を背負うのが社長の役目や」と、
常々言っていました。
そして私を励ますように
「しかしな、辛く苦しいがそこに指導者の生きがいがある」と諭されました。
叱るべき時は叱り、いたわるべきところはいたわる。
寛厳、よろしく導いて行くところに、人間の真の成長があるのです。

『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』

木野 親之著
『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』
―この時代をいかに乗り切るか―

11月18日 「しなやかに毅(つよ)く生きる」

幸之助の人生を見ていると節目節目をとても大切にしていました。
それは初心を忘れてはいけないと思っていたからです。
仕事を見直し、生活を見直し、自分を見直し、絶えず自分の信念
を強化していきました。

それはちょうど節を持った竹のようにしなやかな毅(つよ)さを養う
ようなものだったのです。
節目が大事とよく言われますが、幸之助は、一つ一つの事柄を
きちんと片づけて、次に再び挑んでいったのです。
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一つ一つの節目を固め、成長していきます。

『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』

木野 親之著
『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』
―この時代をいかに乗り切るか―

11月17日 「困難を乗り越えよう」

幸之助は幾多の困難と果敢に戦って生きた人です。
「君な、困難に怯えてなんかいられない。希望を持って
挑むしかないんだ」と、言われました。

心配や憂いは、新しくものを創り出す一つの転機として
捉えていたのです。
困難があっても正々堂々とこれに取り組めば、新たな
道が開けてくるのです。

「君、悩んだり心配するのがイヤだったら経営者やめる
ことや」と教えられました。