木野 親之著
『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』
―この時代をいかに乗り切るか―
3月22日 「終わりなきマラソンと思うか」
終わりなきマラソンと思うか、夢多き新しい発見の旅路と考えるかで、
大きく人生は変わります。
自分でなければ、咲かせることの出来ない花を、自分らしく咲かせき
っていく。これが幸之助の信念でした。
「幸せを自分と他者に与えていく、王者の誇りを持て」と幸之助に諭さ
れました。
人生は夢多き新しい発見の旅なのです。
木野 親之著
『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』
―この時代をいかに乗り切るか―
3月22日 「終わりなきマラソンと思うか」
終わりなきマラソンと思うか、夢多き新しい発見の旅路と考えるかで、
大きく人生は変わります。
自分でなければ、咲かせることの出来ない花を、自分らしく咲かせき
っていく。これが幸之助の信念でした。
「幸せを自分と他者に与えていく、王者の誇りを持て」と幸之助に諭さ
れました。
人生は夢多き新しい発見の旅なのです。
三月は季節の変わり目です。気温の変化が顕著で、体調を崩す人も少なくないようです。体調を崩した時には、「病気は自然の注意」と前向きに受け止めて、健康管理がずさんになっていないか、食事のあり方はどうか、生活が不規則になっていないかなど、自身の生活を誠実に振り返りたいものです。
併せて、心の状態にも目を向けましょう。人に対して腹を立てていないか、嫌々ながら働いていないか、家庭の問題をそのままにしていないかなど、マイナスな感情を心に溜めておくと、それは体に表われます。なぜなら、肉体は心の象徴だからです。
「頭が高い」「腰が低い」「鼻高々だ」といった言葉は、それぞれ「横柄である」「へりくだっている」「誇らしい」という様を表現しています。これらの言葉は、心の様相が肉体に連なることを表現しています。
女性ファッションモデルのFさんは、ある日の朝、いつものように起きると声が出ないことに気がつきました。後日、それが「失声症」という病気だと知り、倫理研究所研究員に倫理指導を受けることにしたのです。筆談で状況を説明すると、研究員は「声が出なくなった前日、何か腹を立てるような出来事がありませんでしたか?」と彼女に聞きました。
Fさんには、ひとつ心当たりがありました。両親と喧嘩をしたのです。Fさんはその日、結婚を決めた男性を両親に紹介し、結婚の意志を告げたのですが、両親は結婚に反対をしました。男性は当時、無職であり、彼女のほうもモデル業をしているとはいえ、いつまで安定した収入が続くか分からない状態です。そのため「彼が就職するまでは結婚は認められない」という言い分でした。
そのことをきっかけに両親と激しい口論となり、喧嘩をしたまま寝床に就くと、その翌朝から声が出なくなったのです。
その事実を研究員に伝えると、「その時にFさんは、もう両親と口を利きたくないと思ったのではないですか? そのことを肉体が表わしているんですよ」と言いました。そして「ご両親が結婚を反対したのも、Fさんの幸せを思ってのことですから、まずはご両親の話をしっかりと聞いて、そして謝罪をしてください。ただし、今のあなたは声が出ないから、手をついて心の中で『お父さん、お母さん、わがままな娘でごめんなさい』と唱えてください」と言葉を続けたのです。
Fさんは早速そのことを実践しました。両親の前に手をつき、頭を下げ、心の中で謝罪の言葉を唱えようとすると、「お父さん、お母さん、わがままな娘でごめんなさい…」という言葉がハッキリと口から出たのです。
その後、Fさんはその男性と結婚をすることとなります。両親と話し合った上で、「彼が就職するまで結婚しない」ということを決めた途端、男性の就職が決まったのです。
結果として、彼女は声が出なくなったおかげで、両親と冷静に話し合うことができ、円満な結末を迎えられました。失声症が「両親と仲直りをしなさい。そうすれば結婚も良い方向に向かいますよ」と教えてくれたのです。
「汗」は体温調節、「発熱」は殺菌など、肉体のすべての営みは、その人を良くするために行なわれています。病気もまた、その人を正しい生活へと引き戻してくれる、ありがたい大自然からの注意です。感謝して受け止め、明るい心で生活をする時、必ずや肉体は自然に回復の方向へと向かっていくでしょう。
木野 親之著
『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』
―この時代をいかに乗り切るか―
3月21日 「事業はなんの保証もない」
事業は不連続線、何の保証もありません。
だからこそ希望に満ちた明日へと繋ぐ、連続線にするのが
経営です。偉大な成功は、真剣に行動する、その一歩から
始まるのです。
自分の可能性を信じ抜くところから、困難を乗り越える力が
生まれてくるのです。
その時初めて、成功の扉が開くのです。
幸之助はなんの保証もない事業を日々新たなものとして
花を咲かせ続けたのです。
『職場の教養』のテーマは「溌剌とした仕事ぶり」であり、二十二日は「心を配る」です。この二篇の内容には、共通するものがあります。
「溌剌とした仕事ぶり」では、「一人の挨拶や仕事ぶりが周囲の先輩や同僚に自然と影響を与え、職場が溌剌とした雰囲気に変わるものである」として、基本的かつ必要な起居動作について記されています。
「心を配る」では、「明るく心を配れる人は、周囲から喜ばれている」との内容で、心配りの大切さをポイントとして指摘しています。
A氏が出張した際に利用したホテルでの出来事です。二日連続の出張で、翌日は移動することになっていました。移動に新幹線を利用することもできますが、ローカル線を利用しようと考えていました。
出発時間と到着時間を調べるために、ホテルのフロント係に「JRの時刻表を貸してください」と依頼。A氏はその時間をメモするために、手帳とペンを取り出して時刻表を待っていました。
すると「お待たせいたしました」と差し出された時刻表と共に、なんとメモ用紙とペンが用意されているではありませんか。これを見たA氏は、大きな感動を覚えました。〈お客様は必ず時間をメモするだろう〉というフロント係の心配りに対する感動です。
翌日も別のホテルで感動的なことが起きました。その日は、得意先とホテルでの待ち合わせでした。フロントでチェックインを済ませたA氏が「どこで待とうか」とロビーを見回していると、フロント係が「お客様、どうなさいましたか?」と聞いてきました。「待ち合わせをしようと思いまして」と言うと、「あちらの場所ですと正面玄関がよく見えます。お掛けになってお待ちになられてはいかがでしょう」と案内をしてくれたのです。
A氏は「感動的な応対に接し、自分の気持ちまで清々しくなって、二日間とも仕事が順調に進んだ」と周囲に語ったようです。
どの業種においても、お客様に満足を与えることは、事業商売の基本中の基本です。社長を筆頭に、全社員が「常にお客様に満足を」という信条のもとに仕事に携わることで、冒頭に記した「溌剌とした仕事」および「心配り」に繋がるのです。
倫理研究所理事長・丸山敏秋編著の『倫理経営原典』に、「喜んで仕事をすれば事はスラスラ運ぶ―「喜ぶ」ということは、目の前に起こった事に、明るい心の光を投げかけることである。出会ったものに、温かい心のうるおいを注ぎかける事である。(中略)喜んで仕事にかかると、機械に油をさしたように物事がすらすらと運ぶ。喜んで人に応接すると、難しいことでも、すらすらと片づく」とあります。
まずは経営者自身が仕事に喜んで取り組み、社員やお客様に対して温かく潤いの心を持つことです。そこから自らの企業が喜働集団となり、「顧客満足度」を高めることにつながり得るでしょう。
木野 親之著
『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』
―この時代をいかに乗り切るか―
3月20日 「人間が変わるとは」
人間が変わるとは、自分自身が変わることです。
自分の一念を変えることです。
一念の変革は、未知の世界を切り拓きます。
立ち止まってしまえば、そこで終わりです。
最後まで、貫き通す指導者の一念で決まるのです。
幸之助は「一念の変革は、想像を絶する大きな変化を呼び起こすのだ」
と言っています。