怠け心の打開策は我にあり

私たちの日常には、実に多くの「慣れ」があります。
「慣れ」とは、『日本国語大辞典』によると、「たびたび経験して常のこととなったり、
平気になったりすること。また、たびたびおこなってそのことに熟達すること」です。
つまり、これまで出来なかったことが、訓練を積むことで、出来るようになることを
意味しているのです。
その一方で、慣れることで緊張感を欠き、油断からミスを招くこともあります。
気のゆるみからくる過ちをどのようにして防ぐかは、誰もが直面したことのあるテーマで
はないでしょうか。
建築設備業に従事するEさんは、十カ月に及ぶガス管工事を請け負っていました。
毎日の朝礼では、道具と装備品を確認し、同僚と指差し呼称を行なっています。
通い慣れた現場での朝礼、同じ作業工程のためか、同僚と交わす挨拶や言葉にも、
覇気が感じられません。休憩中にタバコを吸うことが唯一の息抜きで、
本数は日に日に増えていきました。仕事にも身が入らず、ダラダラと深夜まで作業を
引き延ばしてしまうこともありました。
引渡しまで三カ月を切った頃、Eさんのチーム内で、転落事故が発生しました。
幸い大きな怪我には至りませんでしたが、これまでの作業工程や現地KY(危険予知)
の徹底について、監督指導が入ったのです。
Eさんは、ここ最近の朝礼に臨む姿勢や、仕事に取り組む姿勢があまりにいい加減であったこと
を再認識させられました。日頃の生活態度もだらしがなく、遅刻をすることもたびたびでした。
毎日同じ作業を繰り返す中で、心のどこかで〈事故なんておこらないよ〉と、仕事を馬鹿にしていた自らの心を反省したのです。
今回の事故を真摯に受け止め、チーム一丸となって改善に乗り出したEさん。
特に力を入れたのは、朝のスタートです。どの業者よりも早く現場入りして、
各自で服装をチェックしました。朝礼で本日の作業工程を共有し、挨拶や指差し呼称は、
どこよりも大きな声で行なうようにしたのです。
最初は、周囲の注目を集めることを恥ずかしく感じることもありましたが、
次第に声を出すことが心地よくなってきました。
この声出しは、周囲の業者や現場全体にも好影響を及ぼしました。総監督からは
「工事が始まった当初の活気が戻ってきたようだ」との言葉をもらい、その後はゼロ災害で
工期満了を迎えたのです。 

私たちは慣れることによって、物事を始めた時の緊張感や、できあがった時の喜びを
忘れてしまいがちです。その時に現われるのが怠け心です。そうした時こそ、挨拶や返事、
後始末といった基本動作を徹底するなど、できることから実行して、初心を取り戻しては
いかがでしょう。
その一つひとつの行動が、活力をみなぎらせ、新たな喜びを呼び込んで、
以前にも増して良い成果を挙げることに結びつくのです。

『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』

木野 親之著
『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』
―この時代をいかに乗り切るか―

3月27日 「仕方ないとあきらめては、成功はあり得ない」

仕方ないとあきらめては、成功はあり得ない。
人生は自分が脚本を書き換えればよいのです。
現在の自分によって未来は決まるのです。
「君、真実というものは、真実の行いによってのみしか人々に
伝えることはでけへんで」幸之助は真実を大切に生きていました。
「君、励ましが、人を変え、自分を変える。心に汗を流せば、
自然と成功はやってくるんや」。必ず成功出来るのです。

『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』

木野 親之著
『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』
―この時代をいかに乗り切るか―

3月26日 「成功は過去でもなく未来でもない」

成功は過去でもなく未来でもない。
今日(こんにち)、只今を如何に生き切るかで得られるものです。

成功の反対は、失敗でなく妥協です。
「自分自身との安易な妥協が、人生の目標値を下げて行く」と
幸之助は言っていました。
今を精いっぱい生き切る。

事業の成功はそこにしかないのです。

『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』

木野 親之著
『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』
―この時代をいかに乗り切るか―

3月25日 「幸せは外にあるのではない」

「幸せは外にあるのではなく、自分の中の一念にある。失敗も
成功も100パーセント経営者の一念の中にあるのだ」と、幸之
助は教えてくれました。

また「人は行動を起こした回数だけ成長の節を刻む」と、「心で
見る力」を大切にしていました。

『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』

木野 親之著
『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』
―この時代をいかに乗り切るか―

3月24日 「窮地は常にある」

窮地は常にある。それを乗り越えていく中に、智慧の輝きが
出てくるのです。この考え方が、幸之助の哲学です。

即断即決は事業の要諦。スピードで成否が決まります。

「王道の経営と人間主役の経営が、その大きなカギとなるこ
とを、君自身が君の心に教えよ」と、幸之助から厳しく叱られ
ました。