『吉田松陰一日一言』

川口雅昭氏編  致知出版
『吉田松陰一日一言』
―魂を鼓舞する感奮語録―

11月23日 「気は以て習ひて勇にすべし」

天の人を生ずる、古今の殊なし。心は以て養ひて剛にすべく、気は以て習ひて勇にすべし。
特だ養の均しからざる、習の同じからざる、乃ち勇怯剛柔ある所以なりと。 
 嘉永2年10月1日「※佐伯驪八の美島に役するを送る序」

【訳】

天が人をこの世に生み出すことにおいて、昔と今でのちがいはない。
心は養って強く勇ましくするべきである。
気持ちはよき人の生き方などを見習って、強く、物事に恐れないようにするべきである。
ただ、それらの養い方が同じではなく、また、習い方が同じでないため、勇気があったり、
臆病であったり、また、強く勇ましかったり、軟弱だったりするわけである。

※ 長州藩士 佐伯驪八郎。 松陰の門人。

その様に生きるべきであり、
またそのような生き方をできるよう教育が大事なのですね。

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川口雅昭氏編  致知出版
『吉田松陰一日一言』
―魂を鼓舞する感奮語録―

11月22日 「大丈夫の嫉妬私心ほど」

大丈夫の嫉妬私心ほど畏るべき夷狄は之れなく候。   
安政2年9月以降「※桂小五郎あての書翰」

【訳】

立派な男子でもついおこしてしまう嫉妬心や、
自分ひとりだけの利益をはかろうとする気持ちほど、恐れなければならない敵はありません。

※ 長州藩士 桂小五郎。後、木戸孝允。松陰の親友。

それらの心はどうしても起きますが、
慎むよう自戒しています。

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川口雅昭氏編  致知出版
『吉田松陰一日一言』
―魂を鼓舞する感奮語録―

11月21日 「英雄男児忘るべからざる事」

「人にして不仁なる、之れを疾むこと已甚しければ、乱するなり」。是の言、英雄男児忘れるべからざる事。  
 安政2年7月17日「※久保清太郎あての書翰」

【訳】
「不仁、慈しみの心のない人を甚だしく憎むと、その人は必ず乱をおこす」。この言葉、英雄たる男児は、忘れてはいけないことである。

※ 長州藩士 久保清太郎。玉木文之進主宰の松下村塾以来の友人。後、松陰主宰の松下村塾を助け、また、同志として活躍をした。

人の恨みを買わぬ事ですね

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―魂を鼓舞する感奮語録―

「険阻艱難程大業を成すに宜しきもの之なき様存じ奉り候」

足下年少才富何事にても御志さへあれば、成らずと申す事は之れある間敷く候。若し是れ式の事に御鋭気挫け候様にては、大業の創始は迚も出来申さず候。(中略)万一英気挫け候様の事ども御座候も、古の英雄御覧成さるべく候。険阻艱難程大業を成すに宜しきもの之なき様存じ奉り候。   嘉永3年9月29日「※郡司覚之進あて書翰」

【訳】

あなたは、年齢が若いが、才能に富んでおられるので、何事であろうとも、志さえあれば、ならないということはあるはずがありません。もしも、これくらいのことで何事かをなそうとするお気持ちがくじけるのであれば、大きな仕事を始めることなどはとてもできないでしょう。(中略)万一お気持ちがくじけるようなことはあったとしても、古の英雄をご覧なさい。苦しいこと、困難なことがあるほど大きな仕事をなしとげるには好都合だと思われます。

※長州藩士 郡司覚之進 生没年不詳。松陰の友人。砲術研究者。

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―魂を鼓舞する感奮語録―

11月3日 「人材を長育するには」

大凡人材を長育するには其れをして多く怪異非常愧づべきの事を見聞せしむるに如くはなし。蓋し尋常庸々の事は以て新たに視聴に入るるも其の志気を発励するに足らざるなり。

 

嘉永5年8月26日「※治心気斎先生に与ふる第三書」

【訳】

だいたい人材を大きく育てるには、不思議なこと、普通と違うこと、また自分を恥ずかしく思うようなこと、驚喜するようなことなどを見聞きさせることが一番だと思います。当たり前の平凡なことをは、新しい経験となるでしょうが、それで新たに志を立て、励むには足りません。

※長州藩 山田宇右衛門。治心気斎は号。松陰は幼少時よりその教えを受け、最も影響を受けたといわれる。