一日一回やり続ける

9月に新しい年度がスタートして、まもなく三カ月が過ぎようとしています。
 新年度の初めには全国で辞令交付式が行なわれました。
新しい役職に就かれた方、昨年度と同じ役職の方と様々ですが、
多くの方が〈平成二十七年度も精一杯努めていこう〉と決意を新たにしたことでしょう。
 今年で入社四年目になるMさんは、九月から新しい部署に異動となりました。
社長より辞令を受け、〈よし、新しい部署でもがんばろう〉と誓ったのです。
 辞令を持ち帰るため封筒に入れていると、「M君、その辞令はどうするの? 
封筒に入れたままにはしないよね」と、先輩から声をかけられました。
そして、続けざまにこうアドバイスされました。
「辞令のサイズに合った額縁をすぐに購入して、自宅の目立つところに掲げて、一日一回辞令を見るといいよ。
これは私も昔、先輩に教わったことで、新しい部署に来た時の気持ちを忘れないためにも必要なことだよ」
 Mさんは早速、先輩から教わったことを実行しました。仕事帰りにデパートへ立ち寄り、
辞令に合う額縁を購入しました。そして、自宅の一番目立つところに、辞令を高く掲げました。
 翌朝から、辞令を見て会社に出勤するようになったMさん。しかし、新しい部署での仕事はミスや失敗続きです。
上司や先輩から厳しく叱責されることが度々ありました。〈自分には今の仕事が向いていないかもしれない〉と悩む日もありました。
それでも、一日一回辞令を見る実践によって、「今日一日、今日一日」とくじけそうになる自分を奮い立たせてきました。
毎朝、辞令の前で気持ちを切り替えて、異動した時の前向きな気持ちを忘れないよう努めました。
毎日実践を続けて三カ月、少しずつ仕事が身についてくるとともに、今は気力も充実しています。
 どんな小さなことでもかまいません。一日一回、おなじことを繰り返す。それがどれほど偉大な効力を発揮することか。
地球が一回まわる間に、何かを一つやり続ける。同じことを、一定の時間にきっちりと行なう。
それは大自然のリズム(運動)と歩調を合わせること。
大宇宙と呼吸を合わせるという気持ちで繰り返していくとき、大きな力が湧いてきます。生活に節(ふし)ができ、緩んだ生活はしまりをえて、もてる能力が十全に発揮できるようになります。
(『純粋倫理入門』丸山敏秋著)
 一日一回の実践を継続させるコツは、まず〈今日一日だけやってみよう〉という気持ちで行なうことです。
普段朝起きが苦手な人は、「明日の朝だけ、目が覚めたらパッと起きよう」と決意してみる。
それができたら、翌日も気軽に行なう。その小さな実践の積み重ねによって、継続する力が自然と養われるのです。
Mさんが一日一回辞令を見るという実践で自分の気持ちを高めたように、一日一回の実践を今日から始めてみませんか。

『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』

木野 親之著
『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』
―この時代をいかに乗り切るか―

11月30日 「笑顔は若返りを」

人は幸せだから、笑顔になるのではなく、笑顔になるから、幸せが
やってくるのです。

笑顔は人の心を大きく揺り動かす力となるのです。笑顔は若返りを
促進します。
若返れば、新しいものの見方が出来るのです。

幸之助はものごとをいつも明るく見つめていました。

『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』

木野 親之著
『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』
―この時代をいかに乗り切るか―

11月29日 「企業にはゴールはない」

企業にはゴールはない。
「困れば経営の原点に立ち返ればよい」
会社は絶対につぶしてはならないのです。
そのために、指導者は常に学び進化し続けなければなりません。
ダム経営に徹しなければ、本当の経営者とは言えないのです。
永続することの大切さを、幸之助はよく口にしていました。
企業をだめにするのは社会悪であり、
それが幸之助には耐えられないほどの苦痛だったのです。

『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』

木野 親之著
『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』
―この時代をいかに乗り切るか―

11月28日 「病むことは敗北ではない」

病むことは敗北ではない。
病床で自己を厳しく、凝視することで、これからの進むべき道がわかってきます。
幸之助は、病と格闘したからこそ、傑出した仕事が出来たのです。
毎日が病との戦いで、九四歳まで見事に生き抜きました。
病むことは敗北ではないのです。

『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』

木野 親之著
『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』
―この時代をいかに乗り切るか―

「暗い絵を描けば」

悲観した暗い絵を描けば、その通りの方向に、現実も動いて行く。
自分も不可能だと思えば、必ず不可能になる。もうだめだと思っ
たら、必ずだめになる。

だから、そんな悲観的なイメージは心から消し去らねばならない。

「『私は勝つ』。そう決めた人が勝つんや。人間は思った通りになる」
幸之助にいつも諭されました。